クロスバイクは本来、街乗りなど普段使いを想定した自転車です。
このため走行性能はロードバイクに敵わず、スポーツ走行には向かないと思われがちです。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
今回はクロスバイクを存分に楽しむために、クロスバイクのロングライドについて解説します。
スポンサードリンク
目次
そもそもロングライドとは?
ロングライドは、「自転車で長い距離走る」というイメージから、辛く厳しいものに思われがちです。
実際、平均的なロングライドは、初心者には辛く厳しいものです。
自転車デビューしたとたんに経験者からとんでもない距離を走らされて、自転車が嫌になってしまうという方も少なくないでしょう。
しかし、ロングライドはあくまで「趣味のサイクリング」に過ぎないので、本来楽しんでしかるべきです。
100kmを基準にされる場合が多いですが、100kmにこだわらなければいけない理由はどこにもありません。
50kmのコースでロングライドをうたうイベントもあるほどです。
結論から言えば50kmは十分クロスバイクの守備範囲で、クロスバイクでも楽しむことは可能です。
あくまで距離やスピード、その他コースレイアウトを考えたときに、クロスバイクがロードバイクに劣るというだけです。
クロスバイクでロングライドに挑むデメリット
では、なぜロングライドを想定するユーザーにクロスバイクがおすすめされないのでしょうか。
まずはそのデメリットを知ることで、どうしたらクロスバイクをロングライドに最適化できるか考えてみましょう。
ロードバイクに比べてスピードが出にくい
第一の大きなデメリットが、ロードバイクに比べて走行性能が低いことが挙げられます。
それもそのはずで、ロードバイクはまさにロングライドのために設計されているといっても過言ではない自転車だからです。
ロードバイクは、数百キロのコースを走る「ロードレースのための自転車」なので、ロングライドはお手の物です。
一方クロスバイクが重視しているのは「街乗りの安定性」なので、走行性能を比較してしまえばロードバイクには勝てません。
スピードが遅ければ同じ距離を走っても時間がかかり、スピードを求めると体力を浪費しやすいので、ロングライド前提ならクロスバイクは推奨されないのです。
パーツ構成がロングライドを想定していない
ロードバイクは、ロングライドを想定して設計され、パーツも最適化されています。
一方クロスバイクは快適性を重視しているため、パーツも乗りやすいものを重視して選択・設計されています。
一番の違いはやはり軽さで、とくにホイールは標準装備のものでも雲泥の差があります。
クロスバイクでは、乗りやすさと同時に普段使いでメンテナンス頻度も低いことを前提に、強度を重視しているので重たいパーツが多いです。
重たいということは重りを付けて走っているのと同じなので、長距離を走るとその違いは顕著に出てきますね。
姿勢が固定されている
姿勢が固定されているのはいい事のように思えますが、実はロングライドでは大きなデメリットです。
ロードバイクの一番の特徴といえば下に大きく湾曲したドロップハンドルをイメージできますが、ドロップハンドルが湾曲している理由はなんといっても姿勢を変えられることです。
平常走行時はデュアルコントロールレバーを、低速走行時や坂道ではフラット部分を、スピードを求めるときは下部を持ちます。
それぞれスピードを出しやすい姿勢を選択する意味もありますが、姿勢で使う筋肉を変えて、疲労を抑える効果もあります。
クロスバイクは、一般的にまっすぐなフラットハンドルを装備しているので、姿勢を変えることはできず、ロングライドではデメリットにもなります。
スポンサードリンク
クロスバイクでロングライドに挑戦するメリットは?
では逆に、あえてクロスバイクでロングライドに挑戦するメリットはあるのでしょうか。
あくまで個人的にはですが、趣味としてロングライドを楽しむなら、ロードバイクよりもクロスバイクのほうがいいのではと思います。
乗りやすく疲れにくい
なによりのメリットは、乗りやすいので疲れにくいというメリットです。
ロードバイクはさまざまな目的を持って設計されていますが、基本的にはスピードをないがしろにしません。
スピードを出すためには筋肉を動かす必要があり、その分疲れます。
一方クロスバイクは低速でも乗りやすく設計されているため、筋肉を動かさず惰性で走っているときも安定しています。
つまり、常にこぎ続けてスピードを求める「レース志向のロングライド」ではなく、趣味乗り志向のサイクリング感覚のロングライドではクロスバイクのほうが扱いやすいというわけです。
自分好みにカスタマイズできる
クロスバイクの構成はシンプルで、ある意味必要最低限ともいえます。
つまり改造によってそのスタイルが大きく変えられるので、自分のための一台に仕上げることもできます。
標準的なクロスバイクでは、「走行性能3:7乗りやすさ」のイメージのモデルが多いですが、改造次第で「走行性能5:5乗りやすさ」「走行性能6:4乗りやすさ」といった改造も可能なのです。
走行性能重視で設計されているロードバイクにはできない改造ですね。
これは走るルートや乗り方に合わせてするべきなので、これが正解というものはありませんが、最近は自転車用パーツもかなり低価格化しているので、いろいろ試してみるのもいいかもしれませんね。
ロングライド向けクロスバイク改造・装備品の例
では、どのような改造がロングライド向けクロスバイクに向いているのでしょうか。
もちろんすべてのパーツを走行性能重視にすることも可能ですが、とくに効果の大きい優先するべき部分をピックアップして紹介します。
ここを変えるだけでも、びっくりするほど性能が変わることもあるんです。
ハンドル(ブルホーンバー化)
よくスポーツ自転車の改造においてはホイールを優先するように言われますが、個人的に言えばホイールの優先度は最上位ではありません。
なによりまず挑戦するべきなのが、ハンドルの交換です。
ハンドルの交換は比較的安くできる上に、姿勢が変わるので体感の乗り心地が大きく変わるからです。
この写真のマシンに取り付けられているように、前方に突き出すような形のハンドルがブルホーンバーと呼ばれるハンドルです。
ロードバイクのドロップハンドルは大きく分けて3箇所ポジションを変えられると紹介しましたが、このブルホーンバーはフラット部分と先端部分の2箇所ポジション変更できます。
長時間自転車に乗るロングライドでは、フラットハンドルとブルホーンバーは明確に乗り心地が変わります。
価格もブルホーンバー自体は2,000円もあれば用意でき、バーテープも含めて3,000円もあれば改造できます。
個人的にはまず最初にトライしてみるべき改造だといえますね。
ホイール
自転車の持つ走行性能を大きく変える要素がホイールです。
ホイールの軽量化による恩恵はとても大きく、スピードが出やすくなる上に坂道も軽快に走れます。
その分カスタマイズに必要な予算は大きくなり、軽くなるほど値段は上がります。
1万円台でもクロスバイクに取り付けられるホイールはありますが、軽量化の効果はその分小さくなります。
明確に効果を感じたいなら、できれば前後で3万円台のホイールを用意しましょう。
通販でかなり安く購入できますが、取り付けに際してパーツの換装が必要だったり、同じ径(700cが多い)で同じエンド幅(リア130mmもしくは135mm)のものを選ばなければ取り付けできないので、ショップで相談するのが無難でしょう。
ペダル(ビンディング化)
意外なポイントかもしれませんが、ペダルはとても重要です。
クロスバイクでのロングライドにおすすめなのが、ビンディングペダルのSPDです。
ビンディングペダルとは、ペダルとシューズを金具で固定し、より効率的なペダリングができるようにするものです。
踏み込むだけでなく、足を上げる動作でもクランクをまわせるので、スピードアップと体力温存にもつながります。
ビンディングには数種類あり、それぞれに長所があります。
「SPD」はSHIMANOが販売しているビンディングで、付け外しが楽で、自転車から降りても歩きやすいメリットがあります。
ペダルは安いもので4,000円ほど、シューズが5,000円ぐらいなので、1万円あれば導入できます。
スポンサードリンク
まとめ
走行性能だけ見るとロードバイクに敵わないクロスバイクですが、趣味で乗るという点においてはロードバイクを凌駕できるメリットがたくさんあります。
ロングライドも趣味乗りのひとつなので、クロスバイクでも十分楽しむことができます。
クロスバイクのデメリットの多くは改造で改善できるので、ロングライドに挑戦するなら改造するのもひとつの方法です。
これからロングライド用に自転車を買うならロードバイクも視野に入ってくるので、広い視野で最適な一台を選んでくださいね。