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台湾第二のメーカーとは呼ばせない!MERIDA(メリダ)

現在台湾は世界の自転車産業の中心で、製造のみならず世界に羽ばたくスポーツ自転車メーカーがあります。
台湾のメーカーと言えばGIANTですが、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長しているのがMERIDAです。
実は元々欧米を中心に人気のメーカーでしたが、日本では諸事情で知名度が低かったのです。
最近では24時間のトライアスロンに挑戦したお笑い芸人のみやぞんがMERIDAの最上位グレードのロードバイクを使用したことでも話題になりましたね。
今回はそんな日陰者、でも陰の実力者MERIDAの歴史からおすすめモデルまでご紹介します。

MERIDAの成り立ちと歴史

台湾人技術者アイク・ツェンは、アメリカを旅行中に台湾製の自転車の評判が悪いことを知ります。
この評判に落胆したツェンは、「長く乗ってもらえる高品質の自転車を作りたい」と1972年にMERIDAを設立します。
これはGIANTが設立されたのとほぼ同時です。

長らく欧米メーカーのOEMで製造技術を身につけたMERIDAは、1980年代後半に自社ブランドを展開していきます。
自社ブランドの名を広めるため、ノルウェーやドイツなど、ヨーロッパに展開します。
それから10年ほど経ったころMERIDAはマウンテンバイクのチームを持つまでになり、ドイツに開発拠点を設けました。
これが転機となり、MERIDAはマウンテンバイクで世界に通用するトップメーカーとなります。
GIANTは所詮中華品という評判がいまだに残っていますが、MERIDAにそれがないのは「台湾生まれヨーロッパ育ち」だからでしょう。

ロードバイク開発を本格的に始めたのは2000年代に入ってからで、2010年代にプロチームへの機材提供をはじめ、現在はロードバイクでも高い人気を得ています。
現在の日本市場においてはMERIDA=ロード・クロスのイメージも強くなっていますが、むしろマウンテンバイクで名をはせていた時代は日本でMERIDAの知名度は低く、「MERIDAはヨーロッパのメーカー」として販売されることもあるほどでした。

日本への流通の転機になったのが国内自転車流通大手の「ミヤタサイクル」が販売代理店になったことでした。
ロード、マウンテン、クロスなどの低価格モデルを積極的に流通させて、日本でも急激に知名度を上げていきます。
現在では、クロスバイクで言えばGIANTの次によく見かけるスポーツ自転車メーカーかと思います。
これはクロスバイクの販売数が多いサイクルベースあさひに常時在庫しているのも大きな理由でしょう。

現在ではマウンテンバイクのプロチームはもちろん、ロードレースチームの「バーレーン・メリダ」のスポンサードも行っていて、バーレーン・メリダには日本人の新城選手も所属しています。

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MERIDAの売りと評判

自社生産による高いコストパフォーマンス

OEMを請け負うメーカーとして発展したMERIDAは、自社で十分な生産ラインを確保し、安く製造することができます。
一部の上位グレードは自社のヨーロッパ工場での製造にこだわっていますが、ほとんどが台湾・中国製です。
地の利でもありますが、仮に原価が同じ一万円の場合、素材以外の人件費などの比率が低いほうが原材料をよりよいもの、製造に掛ける時間が上げられるので同じ価格でも高品質なものを作れるというのが本当の意味のコストパフォーマンスです。

元々中華品はその品質の部分が抜けていました。薄利多売を目指す以外にも、そもそも技術が伴わず価格以上の品質を実現することができなかったからです。
MERIDAは開発拠点をドイツに置いたことで設計技術を付け、それをフィードバックすることでコストパフォーマンスを上げることに成功しています。

コスパが良いメーカーといえばまずGIANTの名前が挙げられますが、GIANTは同品質の中では安いという、価格競争を基点とするコストパフォーマンスが目立つイメージです。例えるなら「コーラを買うときに、他のお店より安い」といったイメージ。
対してMERIDAのコストパフォーマンスは、価格こそGIANTで劣るものの設計重視のコストパフォーマンスで、ある程度目の肥えたユーザーを唸らせるコストパフォーマンスの高さです。例えるなら「割引率は低いけどより冷やしたコーラを提供している」というイメージ。
予算を元に選ぶならGIANT(性能を保ちつつも全体的に安い)、性能を基準に選ぶならMERIDAの方が選びやすい(性能を基準に選ぶと結果的に安い)かと思います。あくまで選びやすいレベルの話なので、性能を基準にGIANTを選ぶことも可能ですし、予算を基準にMERIDAを選んでもよいでしょう。

デザインが良い

これは好みによる部分もあるかと思いますが、コスパがいいと評判のメーカーの中ではデザインやカラーリングにこだわっている印象があり、ユーザーからも好評です。
デザインはもちろん、塗装もつや消し系など低価格モデルではあまりないこだわりが見られます。
ネイビー(ダークブルー)+レッドがベースカラーなので、好みに合えばデザイン面でもおすすめできます。

アルミフレームの評価

MERIDAのアルミフレームは、良い意味で必要十分といったイメージです。
性能的な面からいうと特別すごいと言うわけでもないですが、価格と需要をすりあわせた良いバランスだと言えます。

MERIDAのアルミロードは総じて固めの乗り心地ですが、これは溶接面をきれいに仕上げるためにビード(溶接部分の盛り上がり)が厚めになっているからだと思います。
通常アルミの溶接ではビードが波打つような跡が残り、メーカーによってはそこにパテを盛り付けて見た目をスムースにしています。
MERIDAのアルミフレームはビードを非常にきれいに仕上げています。
塗装をはがして確認したわけではないですが、概観からはパテ盛りではなく溶接自体でビードをスムースに仕上げているように見られるので、その分強度が上がり、振動が伝わりやすくなっているのではと思います。
ただこれも特別劣っていると言うレベルではないのでデメリットとは言い切れませんし、見た目を重視したいなら大いにメリットでしょう。

もうひとつ特筆したい点が、アルミエアロロードのREACTO 400の存在です。
エアロロードはフレームチューブが太く重たくなりやすいことから、軽量なカーボンフレームが主流です。
結果的に値段が高めですが、REACTO 400は税別159,900円とエアロロードではかなり格安で、アルミフレームでありながら9.2kgと重さも最低限に仕上げています。
アルミロードの中でも少々重たいモデルなのでヒルクライムには厳しいですが、スピード重視で空気抵抗を抑えたいトライアスロン的な乗り方をするなら、この価格帯ではこれ以上ないおすすめモデルと言えます。

カーボンフレームの評価

コスパも評判のMERIDAですが、カーボンフレームモデルはかならずしも安いとはいえません。
定番モデルのSCULTURAのカーボンフレーム搭載モデルの最安値は、SCULTURA 4100の税別199,000円、REACTOはREACTO 4000の289,000円です。
最近では20万円以下のカーボンロードがごろごろあるので、少し高い印象はぬぐえません。
しかしそれなりの理由があります。

カーボンは炭素繊維を編みこんだシートを、エポキシ樹脂などで固めて使用します。
エポキシ樹脂は硬化する過程で厚みにムラ(いわゆるヒケ)が発生しやすく、硬化する前は液状なのできれいな成型が難しいです。
一般的には型にはめ込んだり、硬化途中で圧縮することで均一なチューブを成型しますが、MERIDAではエポキシ樹脂のヒケ自体を発生しにくくすることで品質を高めています。
これは「ナノマトリックカーボン」という技術で、エポキシ樹脂にナノテクノロジー素材を混ぜていることでヒケを軽減しています。

ナノマトリックスカーボンには性能的なメリットもあります。
エポキシ樹脂はいわばプラスチックなので、強い衝撃が加わると割れが起こります。
炭素繊維と合わせる事でそう簡単には割れませんが、カーボンロードにおいては落車などで縁石などにぶつかると樹脂が割れることがあります。
ナノマトリックスカーボンではエポキシ樹脂自体にナノ素材を混ぜ込んでいることで、エポキシ樹脂の自体の強度を上げています。
ミニ四駆やラジコンでは接着剤の強度を上げるために同様の技術を用いています。
MERIDAの公表値では、従来品に比べて40%の強度アップに成功しているとのことです。

もうひとつ、MERIDAのカーボンフレーム製造には「AWS(ANTI WRINKLE SYSTEM)」が使われています。
カーボンフレームは軽量化のために内部のほとんどが空洞の筒状になっていますが、これは製造時にバルーンを挿入し圧力をかけ、硬化後に引き抜いて空洞を作っています。
このバルーンをシリコン製にしたことでより圧力をかけられ、かつ内部構造をきれいに成型するのがAWSです。
これは厚さのムラを減らすことで強度と耐久性を上げるための技術です。
仮にしわが残って厚みにムラがあったりすると、衝撃が薄いところに集中するため破断の可能性がわずかながら上がるのです。

こういった目に見えない配慮を積み重ねたことで価格は上がっていますが、その分製品への信頼性も上げているのがMERIDAのカーボンフレームと言えるでしょう。

ロードバイクの評判・評価


引用元: メリダ-MERIDA-
MERIDAのロードバイクは、現状だと知名度に反してシェアは高くありません。
修理受付の台数で言えば、GIANTが5台来てMERIDAが1台、ないし0。
MERIDAの在庫取り扱いはない店舗でしたが、同じく取り扱いのなかったルイガノよりも少なかったと記憶しています。
これは無論、出来や評判が悪いというわけではありません。
単純に日本に流通したのが遅く、まだMERIDAに乗り換えたユーザーが少ないのが最大の理由でしょう。
現在のように幅広くMERIDAの取り扱いが始まったのが2010年代に入ってからで、まだ10年経っていないのが現状です。

実際ロードバイクの評価は非常に高いと言えます。
これは設立から二年で複数入賞しているバーレン・メリダの戦績からも見ても取れます。
ロードレースにおいては戦略や資金面でも順位が大きく変わりますが、ニーバリ移籍後の成績を見てもそん色ないことから、バイク自体の出来は劣っていないことがわかります。
これも本格的なロードバイク製造を開始してすぐにプロチームに機材提供を行い、現場からの声をフィードバックし続けたからと言えます。
ロードバイク製造に参入してからわずか10年ほどでここまでのシェアと評価を獲得したのは、ロードバイクのみを見た場合歴代最速記録でしょう。

筆者が試乗した感想ですが、走行性能についてはなんの文句も出せないレベルで非常に高い完成度だと感じます。
それぞれのモデルの特性もよく出ていますし、意図した性能も感じられます。
とくにSIREXはシクロクロスですが、マウンテンバイクで名をはせたメーカーらしい面白いモデルだと思います。
ひとつ文句をつけるとしたら、少し乗り心地に劣る感じがあると言うところでしょうか。
おそらくロードレースをベースに開発しているので、走行性能を重視しファンライド向きではないモデルが多くなっているのではと思います。
低価格でエアロロードを展開していることからもその意図が読み取れますね。
ここがコンフォートモデルやエンデュランスモデルを重視しているGIANTとの最大の違いではないかと思います。
ファンライドにおいても長距離や、走りに集中する楽しみ方だと適していますし、もちろんレースやイベントなど目標のあるライドでは強い見方になるでしょう。

マウンテンバイクの評判・評価


引用元: メリダ-MERIDA-
マウンテンバイクはさすがのラインナップです。
ロードバイクを買うときに、ブランドでMERIDAを選ぶ人はまだ少ないですが、マウンテンバイクにおいてはブランドでMERIDAを選ぶ人も多いほどです。

ひとつ残念なのが、上位グレードの流通が極端に少ないということでしょう。
筆者は市内の専門店すべてでMERIDAの上位グレードMTBの在庫を見たことがありません。
理由はわかりませんが、おそらく日本の市場的に今さらマウンテンバイクを本格展開させることにうまみがないので、やはりマウンテンバイクをメインで展開するメーカーにおされ気味なのが大きな理由になっていると思います。
逆にオンロード系のモデルは上位グレードも多く流通し、サイクルベースあさひとはロードから高級クロスまで本格的なモデルをオリジナルで展開しています。

長らくマウンテンバイク中心の商品展開をしていただけあって、現在のラインナップもこだわりが見られます。
最近ではまったく売らなくなったメーカーもある26インチのマウンテンバイクも展開しています。
一昔前のモデルをオンロード兼用で売り続けているわけではなく、しっかりディスクブレーキ搭載でマウンテンバイクとして販売しているところにこだわりが感じられます。

設計的にはベーシックな印象です。
特殊な機能はあまり搭載せず、従来の機能を磨き上げて拡張しています。
独自性は低いですが、拡張性が高く、クセの少ないというメリットもあります。
もちろん持ち前のコストパフォーマンスも十分発揮されています。

クロスバイクの評判・評価


引用元: メリダ-MERIDA-
MERIDAのクロスバイクは、2シリーズ7モデルで数こそ少ないものの魅力的なラインナップが並んでいます。

CROSSWAYシリーズは、クロスバイクのお手本のようなモデルです。
MERIDAらしい低価格ながらも、ディスクブレーキのラインナップもあり、のりやすさの中に性能の魅力ももつ隠れた名品です。

MERIDAのクロスバイクで特に注目なのが、GRANSPEEDシリーズです。
3モデルすべてでディスクブレーキ、カーボンフォーク採用です。
しかも上位2モデルでは油圧式ディスクブレーキなのも驚きのパーツ構成です。
最上位のGRANSPEED 300-Dは、フロントが44Tのシングルギアです。
今まではフレーム設計が完全にフラットバーロードなのでロード乗りの2台目用かと思っていましたが、よくよく考えると油圧ディスクやフロントシングルはマウンテンバイク系の構成なので、おそらくマウンテンバイクユーザーからの目をひきつける意図が強いのではと思います。

MERIDAロードバイクのおすすめモデル

REACTO 400


引用元: メリダ-MERIDA-
アルミロードの選択肢として、いちどチェックしてみてほしいのがREACTO 400です。
アルミらしいレスポンスの良い走りがエアロ形状で増幅される軽快な走りは病みつきになります。
9.2kgで少々重く、ホイールがMERIDAオリジナルで、ヒルクライムやここ一番の加速を重視すると少し物足りなさはありますが、税別159,900円なのでホイールを新調を考えても十分安いモデルです。

SCULTURA 4100


引用元: メリダ-MERIDA-
エアロロードのREACTOに対して、SCULTURAはベーシックなロードバイクのスタイルで、軽量化とバランスの良い走行性能を持つオールラウンダーです。
SCULTURA 4100も完成車で7.9kgと十分カーボンらしい計量設計で、電動コンポのDi2にも対応しているのでいじればまだまだ伸びるポテンシャルを持ったモデルです。
メリダのカーボンロードでは最安値の税別199,000なので、カーボンロードデビューはもちろん、ロードバイク最初の一台としてもおすすめです。

SILEX 200


引用元: メリダ-MERIDA-
厳密にはロードバイクではなくグラベルロードに近いモデルです。
最近ツーリングユーザーに人気を得ているグラベルロードに新規参入するメーカーが増えてきましたが、MERIDAは元々マウンテンバイクの製造に長けていたので、マウンテンバイクの設計をグラベルロードにフィードバックしたのがSILEXシリーズです。
MERIDAお得意の美しい接合部分は見た目だけでなく強度面もアップしています。
税別139,900円の入門機なので、「ロードバイクは細くて強度的に不安」「細いタイヤが不安」といったユーザーにもおすすめできます。

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MERIDAマウンテンバイクのおすすめモデル

BIG.SEVEN LIMITED


引用元: メリダ-MERIDA-
ハードテイルMTBを買うなら最低限これは必要という構成を実現しているモデルです。
低価格モデルにありがちな街乗り兼用MTBでなく、本格的なオフロードコース向けのパーツ構成。
コンポはSHIMANO SLXを中心に構成し、コスパも十分です。
せっかくならブレーキにもこだわりたいところですが、逆に難点はそれぐらいなので税別169,900円なのでカスタムありきでの購入もよいでしょう。

MERIDAクロスバイクバイクのおすすめモデル

GRAN SPEED 200-D


引用元: メリダ-MERIDA-
フラットバーロードと呼ばれるクロスバイクで、各社のフラットバーロードを比べてもコスパが最も優れているモデルといっても過言ではありません。
油圧式ディスクブレーキ装備で、コンポもロード向けのSHIMANO SORAを採用しています。
それでいて税別91,000円は十分なコスパです。
上位グレード扱いなので特約店(MGD)でしか購入できないのが玉に瑕ですが、探してみる価値は十分にあるモデルです。
特約店が近所にない場合は、ひとつグレードを落として80-MDが購入しやすいでしょう。

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まとめ:GIANTのシェアを奪うのも目前のMERIDA

同じ台湾メーカー、同じコスパの良いメーカーとして、MERIDAはGIANTと並び証される宿命があります。
しかし対照的に、早くから日本に代理店を置いたGIANT、最近本格流通を開始したMERIDAでシェアに大きく差が出てしまっています。
しかし比較してみるとMERIDAに劣っている点はなにもなく、むしろ優位に立っているものすらあります。
一昔前は中華品を嫌う風潮もありましたが、それも薄れ、日本でも流通を本格化させたMERIDAは、いずれどんどんGIANTのシェアを奪っていくのがもう規定路線と言ってもいいでしょう。
そうなったとき、これからの台湾2大巨塔の競争激化が今から楽しみです。

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