クロスバイクは、もっとも普段使いに特化したスポーツ自転車です。
実は独特な進化の過程を持つ自転車で、開発も活発でもっとも売れている自転車です。今回はクロスバイクの魅力を存分にわかっていただけるよう徹底的にご紹介します。

スポンサードリンク

生活に歩み寄り誕生したスポーツ自転車

スポーツ自転車の中で、最も目にする機会が多い自転車はロードバイクと思われがちですが、実はもっとも売れているスポーツ自転車はクロスバイクです。
見た目に特徴がないので見かけても印象に残りにくいですが、ロードバイク1台見るまでにクロスバイクは5台程度見かけているのではないでしょうか。
それもそのはずで、レース指向で開発されたロードバイクやマウンテンバイクに対して、クロスバイクは生活に歩み寄る形で生まれたものなので、レース向けの自転車よりも販売台数も利用されるシーンも多いのです。

クロスバイクの歴史とは?

スポーツ自転車の中では比較的若い

実はクロスバイクは、スポーツ自転車の中ではかなり最近生まれたものです。
クロスバイクのベースとなったのはマウンテンバイクで、1980年代に先立って登場していたマウンテンバイクを市街地の舗装路でも走りやすく改造されたのが発端です。
このオンオフ両方の道「Xロード(クロスロード)用」という意味で、クロスバイクという名前になったと言われています。
当時からマウンテンバイクに採用されていたブロックタイヤは、舗装路ではノイズも強く、スムーズに転がらないため快適とはいえません。
そこでマウンテンバイクのホイールと互換性のあるスリックタイプのタイヤが採用され、その後サスペンションも舗装路で想定される段差用にショートストロークに変更されていきました。

日本市場と欧米市場のクロスバイクの変化

欧米では現在でも太目のスリックタイヤにサスペンションを装備したタイプのクロスバイクが中心ですが、日本ではすこし事情が違います。
欧米では舗装どころか人があまり入り込まないような山道をマウンテンバイクで走る趣味は確立されていますが、日本ではあまりなじみがありませんよね。
そこで日本やアジアの市場では、サスペンションなしでロードバイクと同じ700cのタイヤを装備したオンロード専用のクロスバイクが中心になりました。
もちろん海外でもそういったオンロード専用モデルはあり、同じモデルでもオンロード用、オンオフ両用モデルの2パターン展開している場合もあります。
メーカーによっては、オンオフ両用のサスペンション付きクロスバイクと、オンロード用クロスバイクを別にカテゴライズして展開している場合もあります。性能や用途が全く違うのでこのほうがわかりやすいですね。

クロスバイクのロードバイク化

このオンロード専用のクロスバイクは、マウンテンバイクとは一線を画す形になったため、比較される自転車がマウンテンバイクではなくロードバイクへと変わっていきます。
採用されているコンポなどのパーツもロードバイク向けのものが採用され、最終的には「フラットバーロード」と呼ばれるロードバイク用のフレームを流用したものまで現れました。
しかしロードバイクとフレームが共通するフラットバーロードを除けば、クロスバイクとロードバイクは根本的に目指すところが違うので、いくらカスタマイズしたところでロードバイクとは違うものとなります。

スポンサードリンク

クロスバイクの特徴は?

上記したようにクロスバイクには欧米向けのオンオフ両用モデルと、アジア向けのオンロード専用モデルがあります。
各部の構成パーツの特徴がそれらで大きく変わってしまう場合もあるので、項目別に確認してみましょう。

ハンドルはフラット

ハンドルはどのクロスバイクでも共通で、基本的にはフラットハンドルが採用されています。
簡単に言えばママチャリと同じで、一直線(ないし緩やかなカーブ)のハンドルのことです。
これはマウンテンバイクのDNAを受け継いでいるとも言えますが、フラットハンドルは扱いやすいので普段使いもしやすいよう配慮された形でもあります。
一部のオンロード用クロスバイクでは進行方向に向かって湾曲した「ブルホーンタイプ」のハンドルバーを標準している場合もありますが、かなり珍しいタイプです。

タイヤは700cから26インチまでさまざま

タイヤはオンロード用、オンオフ両用ともにさまざまなものが採用されています。
オンロード用であれば、700cを中心に、26インチのスリックタイプを採用しているモデルも見受けられます。700cであれば28cのやや太めのタイヤが採用されている場合が多いです。
オンオフ両用の場合は、29、27.5(650B)、26インチなどさまざまなタイヤが採用されていますが、細身の700cはほぼ使われません。
単純に未舗装の道を走れるかどうかを考えた場合、もっとも重要になるのはこのタイヤなので、700cを採用しているモデルはほぼオフロード厳禁だと思って間違いありません。

サスペンションの有無

日本ではほとんど見かけなくなりましたが、海外ではサスペンション付きクロスバイクが中心となっています。
フロントフォークにのみサスペンションを装備した、マウンテンバイクでいう「ハードテイル」の形のクロスバイクが一部存在します。
もちろんこれは激しいオフロードの走行を想定したものですが、逆にサスペンションを撤廃したオンオフ両用のクロスバイクも登場しています。
具体的に言えば太目のフレームを採用し、29、27.5、26インチなどの太目のタイヤを採用したモデルです。
サスペンション付きでもクロスバイクで激しいオフロードを走るのは困難なため、砂利道や未舗装路などを目的にしたある意味実用的な進化と言えます。
逆にサスペンション付きのクロスバイクは、マウンテンバイクのひとつに組み込まれているパターンもあります。

クロスバイクで採用されるフレーム素材は?

クロスバイクを買う客層と、ロードバイクを買う客層は全く違います。
このため重宝される素材もまったく違うものになっています。
しかしトップメーカーが展開するクロスバイクの場合は素材にもこだわっているので、しっかりしたクロスバイクを購入したいなら素材にも十分注目する必要があります。

カーボン

炭素繊維のシートを樹脂で固めたもので、軽さ、強度、柔軟性に優れている反面価格が高くなりがちな素材です。
ロードバイクではいまや中心として使用されているカーボンですが、クロスバイクでカーボン素材のフレームはほとんど見かけません。
これはフレームをカーボンにこだわったところで、他の構成パーツにこだわらないと効果が見えにくいこと、そもそもカーボンフレームのメリットを感じるような使い方が想定されていないためです。
このためクロスバイクにおいては、フロントフォークなど一部の素材として使われているにとどまっています。

アルミ(アルミ合金・アロイ)

アルミは強度はもちろん、軽さと加工のし易さでコストが安く、中級グレードまでのロードバイクはもちろん、クロスバイクの素材としては中心的な役割を担っています。
トップメーカーが国内で展開しているクロスバイクの8割以上がアルミフレームを採用しています。
これはクロスバイクに求められる耐久性とコストパフォーマンスのよさを考えると、アルミがもっとも適しているからでしょう。
基本的にアルミのクロスバイクでも十分ですが、フロントフォークに関してはできればカーボンが採用されているもののほうが乗り心地はかなり改善されます。

クロモリ

クロモリは鉄を中心とした合金のことで、高い強度と柔軟性がある反面重い特性があります。
柔軟性があり乗り心地が良く、非常に長持ちなためクロスバイクの素材としては適しているイメージですが、現在ではカーボン同様あまり採用されていません。
あくまで予測ですが、各社クロモリの製造ラインが十分に確保できないことが最大の理由でしょう。
販売されている一部のモデルも、アルミに比べると少し割高な印象です。
フロントフォークの素材としてはさまざまなモデルに使用されており、多少高くても軽さを求めたいならカーボンフォーク、重くてもいいからアルミフォークよりも快適性を求めたいならクロモリフォークでも十分改善されると言えます。

スポンサードリンク

クロスバイクとロードバイクどちらがいい?違いは?

スポーツ自転車未体験の方の多くが「クロスバイクとロードバイクどっちがいい?」と悩んでいるようです。
舗装路を走りたいという目的以外は基本的に全く違うものなので、ここで間違えるとかなり後悔する結果になってしまいます。
そもそもの違いをしっかり把握して選ぶようにしましょう。

クロスバイクはレース用ではない


歴史から考えても、クロスバイクはスポーツ自転車の中では唯一レース用として発展していません。
それでも進化を続けているのは、ひとえに乗りやすさ、楽しさを追求しているためです。
なので、ロードバイクのように「より遠くに」「より速く」といったことを目指すユーザーにはクロスバイクは物足りないものとなってしまうでしょう。
逆に「ちょっとそこまで」や「通勤通学に」といった目的で考えると、クロスバイクにメリットがあります。

乗りやすさはクロスバイクに軍配

クロスバイクは上記した理由から、ママチャリなどの自転車から乗り換えたユーザーにも乗りやすい設計になっています。
クロスバイクが特別乗りやすいというよりは、ロードバイクが乗りにくいといったほうが正しいです。
ロードバイクは前傾姿勢で視界が狭まり、ドロップハンドルは握る場所が多く初心者は混乱してしまいます。
前傾姿勢もドロップハンドルもロードバイクの用途としては最も適した設計として採用されているので、もちろん無意味なものでは有りません。

ロードバイクに比べるとクロスバイクは長距離には向かない

クロスバイクは乗りやすさを重視した結果、スピードを少し犠牲にしています。
あくまで筆者の感覚ですが、クロスバイクが平地で走るときに適した走行スピードは20km弱です。対してロードバイクは30km程度。
これはスピードの出しやすさはもちろん、速度を上げたときの安定性も影響しています。
スピードが出しにくいということは疲れやすく、同じ時間走ったとき距離も短くなってきます。
ロードバイクでは100kmも比較的楽に走れますが、クロスバイクでは50km程度が限界だと感じます。
ある程度はカスタマイズで対応できますが、ロードバイク並みの性能をめざすとロードバイクを買ったほうが安く上がります。

それぞれの具体的な使用例は?

クロスバイクの使用例

・健康維持のフィットネス目的
・普段の足として
・ママチャリと同程度か少し長距離、スピードを求めた通勤通学

ロードバイクの使用例

・長距離移動
・長距離ないしスピードを求める通勤通学
・レース出場

あくまで一例ですが、こういった目的別に選ぶのがひとつの指標になるでしょう。

オンロード用クロスバイクをロードバイク化できる?

ショップにはこういった問い合わせやカスタム依頼が多いですが、結論を言えば「ロードバイクに近づけることはできるが、ロードバイクにすることは不可能」です。
予算的な問題もありますが、フラットバーロードを除けば基本的に別な設計をされたものなので、たとえ100万円使ってもクロスバイクをロードバイクにすることは不可能でしょう。
一番の理由はフレームです。フレームの設計によって何が変わるかと言うと、乗る人間の姿勢です。
ロードバイクは緻密に設計されたジオメトリーで、筋力を最大限に使ってペダルを回すことに最適化しています。
一方クロスバイクは乗りやすさを重視したジオメトリーなので、ロードバイクにすることは不可能です。

上記した理由から、クロスバイクをロードバイクにするのは不可能ですが、クロスバイクの乗り心地を改善したり、性能をアップすることは大いにメリットがあります。
たとえばクロスバイクのメリットを延ばすために乗りやすさを改善するのはすでに一般的です。
逆に多少乗りやすさ、使い勝手を落としてママチャリのように荷物を載せられるようカスタマイズしているユーザーもいます。
また、ロードバイク並みとはいかないまでも長距離、高速走行を想定したカスタマイズを施すことでロードバイクに似た用途に使用することもできます。

スポンサードリンク

まとめ

クロスバイクはロードバイクやマウンテンバイクと違い、普段使いに最適化されています。
そのなかでもマウンテンバイク寄りのクロスバイクや、ロードバイク寄りのクロスバイク、さらにはフラットバーロードと呼ばれるロードバイクベースなどさまざまなモデルが登場しています。
基本的な構成は似ていても、より細かなシーンに対応できるよう設計されているので、ひとくちにクロスバイクだと思わず、自分の使用シーンに向けて設計されているかにも少しだけ意識を向けてみてくださいね。