スポンサードリンク

マウンテンバイクが27.5インチに乗っ取られる!?

マウンテンバイクといえば26インチ、29インチという時代が脅かされています。
現在26インチのマウンテンバイクは影を落とし、一部の29インチモデルもサイズを変更した例もあります。
この発端となったのが「27.5インチタイヤ」の登場です。
厳密には同等のリム径の規格は古くからありましたが、マウンテンバイク用としたことでその優位性に注目が集まり、26インチを蹴落とし、29インチの存在まで脅かしています。
今回はそんな27.5インチタイヤのお話です。

27.5インチ規格とは

27.5インチは、通称650Bと呼ばれる規格のタイヤをバージョンアップさせ、マウンテンバイクにフィードバックした規格です。
ETRTO表記では「○○-584」になります。
リム幅584mmの650B自体は40年ほど前から使用されていた規格ですが、現在の27.5インチではマウンテンバイク用に流通しているということもあり比較的太いタイヤが主流になっているので、かつての650Bと27.5インチには互換性がない場合があります。

27.5インチというイメージからすると27インチタイヤよりも大きいと言うイメージを持ちますが、それは間違いでもあり正解でもあります。
ETRTO表記を元にしたリム径から考えた場合、27インチよりも小さく26インチに限りなく近くなっているからです。
ただし実際のタイヤサイズはその太さから大きくなるので、2インチ程度の太さのタイヤの場合700cから見て少し小さい程度の外周になります。

現在の27.5インチが注目を集めたのは2013年ごろと、比較的最近の話です。
2012年のワールドカップ開幕戦で突如登場した27.5インチ(650B)タイヤ採用のSCOTT製マウンテンバイクが優勝、同年開催されたロンドンオリンピックでも入賞し、一躍注目の的となりました。
かつて使用されていた規格と言うこともあり製造が容易で各社一斉に開発を始めましたが、中でも注力したのがGIANTです。

スポンサードリンク

27.5インチのメリット

実は筆者も27.5インチのマウンテンバイクを購入し愛用していますが、そのメリットはかなり大きいと感じています。
GIANTがコマーシャルしている27.5インチのメリットを参考にご紹介していきます。

29インチに比べ加速性能が高く、26インチにトップスピードで勝る

29インチタイヤはロードバイクで使用される700c規格と同じリム径で、実際の外周はそれよりも大きくなります。
このためトップスピードでは勝りますが、タイヤ径が大きいことで漕ぎ出しにトルクが必要で、大きい段差を乗り越えるときは緻密なギアマネジメントとあわせなければ困難な体験をしたライダーも多いでしょう。
逆にタイヤ径の小さい26インチタイヤでは、登りや障害物を乗り越えるシーンでは有効なものの、タイヤ径の小ささからトップスピードに劣るデメリットがありました。
27.5インチの走行性能はその中間的な存在で、29インチよりも漕ぎ出しが楽でありながら26インチよりもスピードが出るという特性があります。
悪く言えばどっちつかずとも言えますが、MTB競技においては様々な走行シーンが想定されるため、マルチに対応できるスペックはむしろメリットであると言えます。

重量が抑えられる

GIANTの調査によれば、27インチはタイヤとチューブを合わせると、26インチよりも5%重くなることがわかっています。
しかし29インチは27.5インチと比べ12%重くなるという結果が出ています。
これは27.5インチの外周はホイールによるものではなくタイヤ自体の太さによるものであるため、実際の外周に比べて素材の重さが出ないからです。
言わずもがな自転車において足回りの軽量化は最重要ポイントなので、このメリットは競技はもちろん普段使いでも大きなメリットになるでしょう。
5%の重さで性能アップできるなら、26インチよりも27.5インチを選んでしかりです。

フレーム剛性の高さ

タイヤが小さく済むということは、フレームもコンパクトに抑えられるということです。
これはフレームの剛性に繋がります。
段差を駆け下りたり左右上下から衝撃のかかるマウンテンバイクにおいてはこのフレーム剛性は重要で、フレームの寿命はもちろん操作性にも大きく影響します。
他のホイールサイズの走行性能を良いとこ取りした上に、フレームにもメリットがあるのが27.5インチタイヤということになります。

27.5インチのデメリット

走行性能には大きなメリットのある27.5インチですが、唯一まだ発展途上というデメリットがあります。
例えば舗装路を走るためのスリックタイヤは26インチでは一般的ですが、27.5インチではまだ数えるほどの選択肢しかありません。
またリジットフォーク化したい場合も、フォークはアーチに余裕のある26インチ用か、29インチ用で代用するしかありません。
マウンテンバイクとして使用するなら十分なバリエーションがありますが、このようにオンロード化しようとした場合など、少し特殊な用途に使用したい場合はまだ対応し切れていないというのが事実でしょう。
ただここまで主流になっていると、今後こういったサプライも充実していくことはほぼ間違いないといえます。

スポンサードリンク

27.5+とは?

27.5インチが主流になりまだ日が浅いですが、そこから発展した新しい規格が生まれつつあります。
それが「27.5+」と呼ばれる規格で、一部メーカーではすでに完成車に搭載しています。

27.5+は「セミファット」とも呼ばれ、内径は通常の27.5インチや650Bと同じ584mmで、太さが2.8インチ以上の太いタイヤを指しています。
太いタイヤのメリットは、

  • グリップ力が上がる
  • ゆるい路面で沈みにくくなる
  • エアボリュームが増えるのでクッション性(サスペンション効果)が上がる
  • 厚みが出るのでタイヤの外径が大きくなる

などがあります。

これらは必ず通常の27.5インチよりも優位というわけでなく、走行シーンやライダーの技術などによっても左右されます。

初心者におすすめの27.5インチ採用マウンテンバイク

GIANT TALON 3

TALON 3
引用元: 2019 Giant bicycle

27.5インチに注力するGIANTのマウンテンバイクで、最初の一台に、かつ本格的にマウンテンバイクを楽しみたい方におすすめしたいのがこのモデルです。
タイヤは27.5×2.2のマキシス性ブロックタイヤで、ブレーキは油圧式ディスクブレーキのハードテイルMTBです。
税別¥67,000という安価ながら、MTBをよく理解したメーカーから十分な性能を与えられた一台です。

SCOTT ASPECT 780

 


引用元: SCOTT JAPAN

私が知る中で27.5インチを採用した最も安いマウンテンバイクです。
価格は税別¥48,000。
販売元は27.5インチの優位性にいち早く気づいたSCOTTです。
コンポなどは価格相応ですがそこはさすがSCOTT製、作りはしっかりしています。
最も入手しやすく、マルチに走れる本格派クロスカントリーモデルです。

BIG.SEVEN 20-MD

「http://www.merida.jp/lineup/mtb/bs_20-md.html」の画像検索結果
引用元: メリダ-MERIDA-

マウンテンバイクといえばこのメーカーははずせない、MERIDAの一台です。
価格は税別¥65,900とメリダらしいコスパで、ロックアウト機能付きフロントサスペンションなどうれしい装備のマウンテンバイクです。
これまで紹介したメーカーと違い通販可能なので、近くにスポーツ自転車専門店がない方も入手しやすいメリットもあります。

スポンサードリンク

トータルスペックでお気に入りの一台を見つけよう

このように27.5インチは他のタイヤに比べてメリットが大きく、今後ロードバイクの700cのようにマウンテンバイクといえば27.5インチという時代がくるかもしれません。
しかし、自転車のスペックはタイヤのみに依存するわけではなく、トータルスペックで決まります。
とくにマウンテンバイクの場合、サスペンションなどギミックが多く、それらの性能にも大きくトータルバランスが左右されます。
タイヤへのこだわりはもちろん、その他のギミックにも目をむけお気に入りの一台を見つけてくださいね!