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初心者を惑わせる呪文「コンポーネント」

ロードバイクを買おうと思ってネットを見ると、「コンポーネント」という呪文を必ずと言っていいほど見かけます。
これが初心者を悩ませる種で、せっかくかっこいいロードバイクを買おうと思っていた人が、この呪文でGoogleに助けを求めて心の迷宮に迷い込んでしまう悪い呪いをかけられてしまいます。

せっかくのモチベーションをここで失うのはちょっともったいないのでスムーズにかっこいい自転車を選んで欲しいところですが、完成車を買う場合は重要なポイントになるので、しっかり呪いを堪能していきましょう。

コンポーネント(コンポ)とは?

一口にコンポーネントというとさまざまな意味があって、たとえばオーディオ機器ではミニコンポがおなじみですよね。
コンポーネントは「構成する部品」という意味があるので、実は自転車の専門用語ではありません。

自転車においてのコンポーネントは、基本的に自転車についているメカニカルな部品の総称です。
具体的に言えば
・コントロールレバー
・ディレイラー
・ブレーキ
・クランク
・ボトムブラケット
・スプロケット
・ハブ
・チェーン
などのことを指しています。

メーカーで言えば釣具でも有名な「SHIMANO(シマノ)」や、歴史の古い「Campagnolo(カンパニョーロ)」が有名で、ほかにクランクで有名なメーカーや、ロードバイク以外のコンポを得意にするメーカーなどもあります。

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コンポが変わると何が変わる?

性能の違い

ブレーキやシフターが軽い力でも引きやすい、変速しやすいなどの操作性の違いもあります。ここに関しては最近は下位グレードでも十分なので、下位グレードだからダメということはありません。
また、上位グレードでは重量が軽くなるので、車体重量を抑えることが出来ます。
ここに関しては「レースに出たい」、「より快適に長距離を」と言った場合にこだわるレベルでよいでしょう。

ギア数の違い

グレードによる一番わかりやすい違いは、変速機のギア枚数です。
SHIMANOのロードバイク向けコンポで言えばリアが7速~11速で、グレードによって枚数が上がっていきます。
ギアの選択肢が広まると体力の浪費を抑えられるので、可能であればより枚数が多いほうがおすすめです。

価格の違い

コンポはグレードによってグループセットでだいたい3万円~35万円までと幅があります。
完成車のロードバイクも、組み込んであるコンポのグレードによって価格が変わります。
フレームが同じでもこのコンポによって値段が大きく変わります。
とくに最初は値段の違いでコンポに興味を持つ方が多いかもしれませんね。

ひとつ例にとって比較してみましょう。

CAAD12

引用元: CAAD12 TIAGRA キャノンデール

キャノンデールの大ヒットモデルです。
優秀なフレームを生かして、比較的安いモデルから上級グレードまで4種類ラインナップがあります。

CAAD12 TIAGRA ¥150,000
CAAD12 105 ¥190,000
CAAD12 105 DISC ¥230,000
CAAD12 ULTEGRA ¥260,000

それぞれ2018年モデルの税抜き価格です。
CAAD12に続く単語はそれぞれSHIMANOのコンポの名前で、下に行くほどグレードが上がっていきます。
それに伴い価格も上がっていっていますね。
CAAD12はボトムブラケットがBB30規格で、それに伴いクランクもSHIMANO製ではないので、とりあえずBBとクランクなど、SHIMANO以外を使っているものは差し引いて比較してみましょう。

TIAGRAは下から4番目のグレードで、リア10速の初~中級者向けのコンポセットです。
105は中~上級者向けモデルで、上位グレードと同じリア11速です。DISCはディスクブレーキ採用モデルなので、コンポの価格差よりも通常とは違うフレームとホイールを採用している点での値上げもあります。
ULTEGRAは上から2番目の上級者向けモデルで、リア11速のコンポセットです。

TIAGRAと105を比較すると、TIAGRAのクランクBB別のセットは定価52,000円ほど、105のクランクBB別のセット定価は60,000円ほど。
価格差は8000円なので完成車の価格差4万円より小さいです。
ぼったくりに見えるかもしれませんが、これはTIAGRA搭載モデルと105搭載モデルでホイールやタイヤ、サドルなどのグループセット以外のグレードが大きく変わるためで、比較してみると105にも十分価格相応の価値があるといえます。

次に105とULTEGRAを比較すると、105のクランクBB別のセット定価は60,000円ほど、ULTEGRAは124,000円ほどです。
価格差は64,000円なので、本体価格の価格差とも近いですね。
タイヤなど一部に違いがありますが、コンポ以外に大きな違いがないためでしょう。

このように搭載しているコンポで価格差はありますが、完成車の価格差は単純なコンポの上下関係だけではないのでひとえに比較できません。
なのでコンポの値段だけで比較してしまうと、後々後悔する可能性もあります。

コンポを中心にロードバイク選びをする場合の注意点

最初からこだわるべき?

結論から言うと、初めての一台を買うときに、コンポの良し悪しに大きく左右されるのは非常にもったいないです。
というのも、実は理論上出せるトップスピードにコンポのグレードはほとんど関係ないからです。
ペダルを回すトルクと回転数が同じ場合、トップスピードは一番大きいギア比に依存しますが、グレードによってギア比が大きくなるわけではなく、一番小さいものから大きいものまでのギア比の種類が増えるだけです。

自転車の場合スピードに合わせてギアを変速して足への負担を少なくするので、ギア比の種類が多くなるのは明白なメリットですが、成績を求めないなら乗り方を自転車に合わせればいいので、そこまで重視するポイントではないです。
つまり「コンポにそこまでこだわらなくていいが、ギアの枚数はできれば多いほうがいい」という回答になります。
ロードバイクの場合はフロントは2速が基本なので、具体的にはリアのギアの枚数ですね。
もちろん動作や重量はグレードが上がるほどよくなりますが、ここに関してもレースなど突き詰めたこだわりが必要な場合以外は重視しなくても問題ありません。

交換できるので無理にこだわらなくてもOK

コンポーネントは、SHIMANO同士であれば基本的な規格は同じなのでまるごと交換できます。
「一部だけグレードを変えたい」となるとグレード間の互換性の問題がありますが、すべて交換することは可能です。
また故障や派手なキズがなければ中古でも売りやすいので、交換時の予算の抑えられます。
ギアの枚数が増えるとホイールも交換の必要がある場合もありますが、交換できないと言うことはほとんどありません。
なので、「予算がないけどいいコンポのロードバイクを買えるまで我慢する」というのはとてももったいないです。

優先度は『フレーム>コンポ』

コンポを交換できるのは上記したとおりですが、ロードバイクで唯一交換できないのがフレームです。
実際には交換できますが、フレームを交換してしまうと全くの別物になってしまいます。引っ越して家具はすべて持ち込んでも同じ家ではないのと同じです。
価格を比較したときに察した方もいるかもしれませんが、完成車の価格の大半はフレームが占めています。
なので、コンポを重視してフレームがおざなりになってしまうと大損してしまうというわけです。

例にCAAD12を出したのも上位グレードのULTEGRAを乗せる価値があるフレームだからで、CAAD12 Tiagraは簡単に言えば「グレードの高いフレームに安めのコンポを乗せているラインナップ」だからです。
逆に一部では「グレードの低いフレームに高いコンポを乗せているラインナップ」も存在するので、選ぶなら「グレードの高いフレームに安価なコンポを乗せているラインナップ」をおすすめします。

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まとめ:コンポはあくまで構成要素のひとつ

申し訳ないですが、このサイトも含めネット記事ではコンポにこだわりすぎです。
乗り心地などの本質的な情報を除いてしまうと自転車を選ぶポイントがコスパになり、結果的にコンポが大きなファクターを占めます。
しかし実際比較してみると、コンポよりもそのほかのパーツが価格に大きく影響していることもあり、そこまで大きな要素にはなりません。
操作性や性能も突き詰めた結果違いが生まれただけで、グレードが低いから問題になるとも言い切れないのです。

もちろんコンポは重要なので基礎知識を抑える必要はありますが、重要なポイントはほかにたくさんあるので、コンポはあくまで選ぶときのチェックポイントの一つ程度に捕らえておきましょう。